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粉末冶金(焼結)

2023/01/31
含油軸受とは | 特徴や製造工程について解説
METAL COLUMN

含油軸受とは

含油軸受とは、軸受の内部に潤滑油が入っている状態のものです。軸が回転することにより、ポンプ作用が起こり軸受の内部の結合分子から油が染み出る仕組みになっています。この油が金属接触(かじり)を防止する役目を果たし、さらには油が軸受摺動面に染み出しにより冷却作用が働きます。
これを毛細管現象と言います。また、静止時には毛細管力により染み出した油は再び軸受気孔に吸収されます。

含油軸受の特徴について

含油軸受の特徴は、含油軸受は自己潤滑性があるため、長時間給油(注油)せずに使用でき、含油率につきましても調整範囲が広く、個体潤滑剤の併用が可能です。また、軸受全面から油の供給があるため、もし、油切れがあった際も焼き付きは発生しません。油が不足してしまったとしても軸受壁を通して浸透給油をすることができます。
また、多孔性に由来する振動吸収力が高く、静粛性に優れます。そのため騒音が発生しやすいとされているモーター部などで使われることが多いです。 コスト面に関してもプレスと焼結作業を主体としているため多量生産に適しており、賃率の高い切削加工の工程を省くため、低コストに抑えることができます。

含油軸受の特性と用途について

含油軸受の素材は、主に、銅系 鉄系 鉄銅系に分かれています。銅系は主に音響機器やOA機器、モーターに多く使われています。
鉄系材は低速ではありますが、高荷重に対応ができ、耐摩耗性も高いです。主に玩具や住宅機器に使われております。鉄銅系は、銅系・鉄系の中間で、素材のコストダウン検討で用いられることが多いです。高速対応やなじみ性や高荷重対応ができるものがありますが、共通していることは耐摩耗性があるということです。
用途は、OA機器や音響機器に加えて家電機器にも対応が出来ています。多種の潤滑油と軸受材素材の組合せにより使用環境に幅広く対応可能しています。

PV値

PV値は元々P値とV値に分かれています。
P値とは面圧のことで、軸受に負荷される最大荷重(W)を軸受の投影面積(d×L)で割った値になります。

V値とは速度のことで、相手と軸受との相対速度のことです。
PV値とはP値とV値の積のことで、摺動面の摩擦熱により樹脂が溶融、焼きつき、異常摩耗の確認の際に参考となる数値です。

また、それらに異常が発生するPV値を限界PV値と言います。限界PV値以上の使用は、いずれ製品の使用ができなくなることを意味しています。

製造工程

含油軸受は以下の流れで製品の製造を行います。
原料→混合→成形→焼結→サイジング→(機械加工)→真空含浸→検査→梱包→出荷
まず、原料粉末の選定を行い、混合機を用いて混合します。次に、プレス成形機で上下方向から圧縮し圧粉体を作ります。それから、焼結炉で圧粉体を焼成し焼結体となります。そして、サイジング工程を経て、真空油浸釜内で潤滑油の含浸を(真空油浸)を行ったのち完成します。

原料粉末

一般的に各素材メーカー(粉末メーカー)が販売しているプレミックス粉を使用します。青銅粉やカーボン粉末を次工程の混合でプレミックス粉に混ぜ合わせることもあります。

混合

混合とは2種類以上の違う物質を混ぜることを指します。混合作業中はきちんと混ざり合わさるようにしなければなりません。これは偏析と言って粉末同士が混ざりあわず、分離した状態になってしまうことを指します。またそれを防ぐためには微量のスピンドル油の使用を推奨しています。混合工程では主にV字型の混合機を使って所定時間混ぜ合わせます。

成形

成形工程では熟練した技士が金型(上パンチ 下パンチ ダイス コア)を成形機にセットすることから始まります。非常に繊細な作業のため、金型のセット(段取りともいいます)には1.5h~2.0h時間を要します。金型セットが完了したら、半自動圧縮成形機を使って、原料(粉末)を金型へ流し込み、上下のパンチで圧縮成形します。成形体(圧粉体)は見た目には完成体に見えますが、粉末を固めただけのものですので、圧粉体を手で強く握ると粉々に崩れてしまいます。

焼結

焼結は焼結炉(連続炉)で成形体(圧粉体)を焼き固めます。焼結炉は予熱ステージ(圧粉体に添加されている潤滑剤を飛ばす) 本焼結ステージ(800℃から1300℃で焼き、粉末同士を結合させる) 冷却ステージ(焼結体を冷却する)の3つのステージに分かれております。銅系・鉄系・ステンレス系の各素材は融解温度が異なるため、焼結炉を複数ライン保有している焼結メーカー様もあります。また、ステンレス系粉末は真空炉を使って成形体を焼結しています。

矯正・サイジング

サイジングとは、別名で整形とも呼ばれています。寸法精度や強度を更に高めるための工程です。
サイジング工程は、成形工程とほぼ同様ですが、サイジング金型を圧縮プレス機にセットします。
そして、焼結体をサイジング金型の中に入れて再圧縮します。

含油軸受における、サイジング工程は重要な工程です。
1つは、精度要求の高い内径の寸法を出すこと
もう1つは、ポーラス(孔)を整えることです。

ポーラスが均一になっていないと、潤滑油が染み出しが多すぎたり、逆に少なすぎたりすることに繋がってしまいます。そのため、ポーラスランクと呼ばれる表を用いて、ポーラスの分布レベルを事前にすり合わせすることもあります。

■サイジングの仕組み
焼結体を金型に入れ、上下パンチで圧力をかけると、素材はダイスや上下パンチに押し付けられ、素材の変形や寸法が矯正される。 サイジングの方法は、ポジティブサイジングとネガティブサイジングの2種類の方法がある。

・ポジティブ・サイジング法
素材を最終製品寸法よりも大きめに作っておき、サイジングする際に金型に押し込み、ダイスやコアにこすりつけて精度を出す方法。

ネガティブ・サイジング法
素材を最終製品寸法より小さめに作っておき、金型内で圧縮することにより金型面に押し付けるようにして精度を出す方法。
金型に焼結品を再度セットして圧力を加え焼結品の寸法精度を向上させます。寸法精度や強度が更に必要な製品は、再度金型を使用して、再圧縮を行います。

後加工・後処理

含油軸受における後加工とは、機械加工のことを指すことが多いです。コスト低減のため、機械加工の必要が無いように設計されますが、横穴の穴あけやタップ加工を要する場合は、機械加工が必要になります。また、含油軸受において、フレの精度要求高い場合、旋盤でフレ取りを行うこともあります。

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よくある質問


質問:含油軸受とは何ですか?

答え:含油軸受とは、含油軸受とは、軸受の内部に潤滑油が入っている状態のものです。軸が回転することにより、ポンプ作用が起こり軸受の内部の結合分子から油が染み出る仕組みとなります。

質問:含油軸受の製造工程について教えてください。

答え:含油軸受の製造工程は以下の原料→混合→成形→焼結→サイジング→(機械加工)→真空含浸→検査→梱包→出荷です。各工程を詳しく紹介しています。
詳しくはコチラを参照ください。