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粉末冶金(焼結)

2023/02/15
べべルギア(かさ歯車)とは | 特徴や用途・種類について解説
METAL COLUMN

べべルギア(かさ歯車)とは

ベベルギアとは、ベベル(英:Bevel)という言葉が表す通り傾斜のある傘のような形の歯車のことです。
一般的には「かさ歯車」と表記されます。ベベルギアはベベルギア同士を組み合わせて使います。歯車には円すい、または円すい台の側面に歯が刻まれており、直角に交差する2軸間で回転を伝達するときに使用されます。動力の異なる軸方向に変更する際や、かさ歯車同士を組み合わせる場合、それぞれの回転軸が交わる関係で設置されます。かさ歯車をうまく使って動力の伝達方向を変えれば、一つの動力からあらゆる方向へ動力が伝達できるようになります。その役割を果たすのが、ベベルギアです。

べべルギア(かさ歯車)の特徴について

交差している軸の間で、運動と動力を伝達するのに使用されているのがベベルギアです。ベベルギアは、歯車通しがおおむね90°に交わって回転の力の向きを直角に変えることができます。形状は傘のような円すいの形をしており、ベベルギア同士を組み合わせて使います。
また、ベベルギアの回転数の変え方は平歯車と同様、歯数の違うものを使います。
かさ歯車の製作には、大規模な専用の歯切り盤を必要とします。最も代表的な物として、グリーソン方式があり、ほかにクリンゲルンベルグ方式、フィアット方式などがあります。
すぐばかさ歯車の歯きり法の特別な例ですが、この方法は能率が悪いと言われています。円錐角に相当する傾斜をつけられる割り出し盤と円筒専用のフライスカッターを使用して、一歯溝ごとに切ります。

べべルギア(かさ歯車)の用途と使用例について

ベベルギアは回転の向きを90°変え、動力を伝える際に用いられます。大きな手回しハンドルがついたコーヒーミル、手回し式のハンドミキサーやハンドドリル、また、ラジコン等にも使われています。前方にエンジン、トランスミッションを配した後輪駆動の自動車(トラック等)構造にベベルギアは不可欠です。
その理由は、トランスミッション(変速機)からプロペラシャフトを伝わってきた動力を後輪シャフトに向きを90°変える必要があるため、その役割を果たすのがべべルギアです。
また、ストレートべべルギアにおいては、自動車のデフケース中の差動歯車などに使われ、スパイラルべべルギアは、ヘリコプターの変速装置・自動車の最終減速歯車・ボートの船外機のスクリュー駆動歯車などがあります。

べべルギア(かさ歯車)の種類

①ストレートベベルギア(すぐばかさ歯車)
すぐばかさ歯車の長所は、シンプルな形状によって高精度、低コストが実現できることと、スラスト荷重が大きくないため複雑な軸受が不要になります。
一方で、すぐばかさ歯車は、高速回転によって騒音と振動が大きくなってしまいます。すぐばの歯車は噛み合い率が小さく、少ない歯当たり面に負荷がかかるため、特に回転数が上がると騒音や振動が大きくなることが避けられません。

②ヘリカルベベルギア(はすばかさ歯車) はすばかさ歯車は、歯筋が真っ直ぐで、斜めに向かってついているものを指します。 先程紹介した「ストレートベベルギア」と後述する「スパイラルベベルギア」の中間的な性質を持ちます。

ヘリカルベベルギアのメリットは
•歯の強度がすぐばかさ歯車に比べ高い
•振動 騒音がすぐばかさ歯車に比べ少ない
ことが特徴です。

歯筋が斜めになっていることから歯の噛み合い率が高く、歯の強度はすぐばかさ歯車に比べて強くなります。 また、噛み合わせ時の滑らかさもすぐばかさ歯車に比べて優れており、騒音や振動が少なくなると言う特徴もあります。

③スパイラルベベルギア(まがりばかさ歯車)
→まがり歯かさ歯車には、騒音や振動が少ない、強度が高い、摩耗しにくいといった長所があります。加工が難しくコストが嵩みがちであることや、スラスト荷重が大きいといった短所があります。まがり歯かさば歯車は、円錐形のベースから曲線の歯を切り出していくため、加工が難しいです。他の歯車よりタクトタイムが長くなり、その結果コストがかかる傾向にあります。

④マイタギア
マイタギアには歯すじが直線のストレートマイタ、ねじれがあるスパイラルマイタとゼロールマイタの3種類があります。標準マイタは、同一モジュール、歯数であっても、互換性がない製品があります。マイタは回転中にスラストが働き、歯車、歯車軸、軸受け等にゆるみが発生することがあります。そのため、歯車と軸をキーと併用して止めねじ、ノックピン、段付き軸等で確実に固定する必要があります。

⑤ハイポイドギア
ハイポイドギアは、強度と静音性に優れており、大きな減速比が得られるという利点があります。 歯の噛み合い率が高く、歯当たり面が大きく取れるため、噛み合いは連続的で滑らかに進みます。さらに、駆動歯車と被動歯車の軸がオフセットしていることで、噛み合い面が歯筋方向に滑るため、スパイラルベベルギアより静音性が高くなるといった特徴があります。

短所
ハイポイドギアの短所は、エネルギーロスの大きさと、摩擦に対処しなくてはいけないことです。これは、噛み合い面が滑ることで摩擦熱が生じることが起因します。そのまま使ってしまうと焼き付いてしまうため、ギアオイルの使用が必須です。自動車の駆動装置、電車の駆動装置、減速機で使用されています。

ストレートベベルギア(すぐばかさ歯車)

歯車がかみ合う面と噛み合っている歯車が真っすぐになっているのが特徴です。軸方向に作用する力が小さいのでスラスト荷重を嫌うところに多く使われています。また、軸受を簡素化できる利点もあります。デメリットは、高速回転させたとき騒音が大きく振動が大きくなってしまうことです。これらの特徴からストレートベベルギアは、コストを優先する場合や高速回転が必要ない場合、騒音が問題とならないときに使うと良いとされています。 一般に比較的低速(周速2m/s以下)で運転される場合に使用されます。製作が比較的簡単であり、工作機械・印刷機械等のほか、特に差動装置に好適です。動力伝達用かさ歯車として最も普及しています。

スパイラルベベルギア(まがりばかさ歯車)

まがりば傘歯車とも言います。歯すじが、ら旋状とつる巻線状でねじれ角になっており、交差する二つの歯車がお互いに絡みつくことでより強く噛み合います。利点としては高速回転でも騒音、振動が少なく、歯面強度が高く、歯面への負担が少ないことが挙げられます。また、ピッチ円すい上で、曲線の歯すじ(代表的には円弧)を持っており、すぐばかさ歯車に比べて、滑らかに運転できます。主にピッチ円周速度が10m/s以上の高速運転の場合に使用されています。

ゼロールベベルギア(まがりばかさ歯車)

ねじれ角が0度のまがりばかさ歯車のことでゼロールかさ歯車、ゼロールベベルギアとも呼ばれています。ストレートベベルギア、スパイラルベベルギアの特徴を合わせ持ったかさ歯車で、歯に加わる力も同じです。スパイラルベベルギアに比べるとスラスト荷重を抑えられることが大きな利点です。用途は産業機器や自動車で使われています。歯すじは曲線を描き、非常に美しい外観を持ちますが、まがりばかさ歯車の歯形とは異なり、外周、円すい状に歯がつる巻線状に絡みついた歯形を持たない、すぐばかさ歯車同様歯の捩れていない歯車です。

ハイポイドギア

ハイポイドギアは、入力側と出力側の2つの歯車の軸が、平行でなく交わりもしない食い違い軸になっており、歯すじが螺旋状になっています。
まがりばかさ歯車とよく似ていますが、まがりばかさ歯車は、軸が交差するという点で異なります。

主に
•自動車の駆動装置
•電車の駆動装置
•減速機(バス トラック 高級自家用車)
などに用いられています。
いずれも、大きな減速比を利用している点と大トルクでの使用という点で似通っています。

ハイポイドギアのメリットとしては
・減速比が大きい
・騒音振動が少ない
・大トルクに耐えられる強度がある
といった利点があげられます。減速比に関してはハイポイドギアは入力側(ハイポイドピニオン)と出力側(ハイポイドギア)で歯数比を大きくできます。

マイタギア

歯数が同じものをマイタギアと呼びます。軸角は90度が標準で、ピッチ面は45度になります。45度,60度,120度のマイタギアも存在し、マイタには、留め継ぎや合口の意味があります。マイタギアは装置の動力伝達・駆動・搬送部分 動力伝達を直交軸で伝えることができます。変速の必要がない軸の回転方向を変えて伝えるだけの用途によく使われます。
主に半導体業界、食品業界、また一般産業機械以外に農機具に対して使用することに適しています。

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よくある質問


質問:べべルギアの特徴は?

答え:一つの動力からあらゆる方向へ動力が伝達できるようになります。その役割を果たすのが、ベベルギア(かさ歯車)です。

質問:キヨタでベベルギアを注文するメリットは?

答え:品質の高く安価な海外製のベベルギアを提供させていただきます。プラスチック、切削、焼結、MIM、など各製法でご提案させていただきます。